「病院や施設で働いているときに、災害が起こったら」
そんな“もしも”を考えたことはありますか?
多くの利用者さんがいるのに車が浸水してしまって、避難所への移動ができない。
不安を抱えている方のもとに、訪問することが出来ない。
そんな時に助けてくれる、日本カーシェアリング協会の取り組みをご存じですか?
介護ワーカーを運営するトライトグループでは、令和3年3月16日に
「災害」×「ローカルキャリア」をテーマにオンラインセミナーを開催することになりました。
※イベントは終了しました
大きな災害が起きた節目の年が近づくと、テレビやインターネットでも震災や防災についての特集などが増え、災害について考える機会が多くなってきますよね。
今回は、災害時に活躍しているヒーローをお呼びしてお話しを伺います。
登壇者は、日本カーシェアリング協会事業部長であり準認定ファンドレイザーの石渡賢大さん。
石渡さんは、東日本大震災を機に保険会社に就職した後、宮城県石巻市の地域おこし協力隊として、日本カーシェアリング協会に参画されました。
現在も、石巻市で災害や地域と向き合い、寄り添いながら、ローカルキャリアを築いています。
災害時の移動を支える、「モビリティ・レジリエンス」とは?
2011年に起きた東日本大震災では、宮城県で約14万6千台、石巻市だけでも約6万台の車両が被害を受けました。生活に欠かせない移動手段を失い、車を買い戻す余裕さえない被災者や高齢者も多くいました。日本カーシェアリング協会では、寄付で集めた車を、平時と災害時の支え合いに活かす仕組みをつくる活動をしています。活動の一つである「モビリティ・レジリエンス」では、寄付者を活用した災害支援を行っており、災害時の軽トラックや軽バンの貸出、施設への活動車の貸出をしています。モビリティ・レジリエンスの取り組みにより、入所施設の利用者の方の仮設住宅への移動が可能となり、大きな不安を抱える高齢の方や体の弱い方への訪問手段の確保が可能となります。実際に、平成30年7月に起こった西日本豪雨では、日本カーシェアリング協会の取り組みによって岡山県倉敷市真備町と愛媛県西予市で98台の車が貸し出され、災害時の移動の大きな助けとなりました。2018年の西日本豪雨で、被災した施設を支えた日本カーシェアリング協会の取り組み
今のうちから“もしも”に備えておくには?
これまで、大きな地震や豪雨などの災害、また新型コロナウイルスの拡大など予期せぬ事態が多く起こっています。
災害が起きた時に自分や大切な人を守るために今できることは、
“もしも”について考え、備えておくこと。
防災グッズを揃えておくだけではなく、災害時に助けてくれる仕組みを知ることや
地域で助け合う仕組みを作っておくことも、防災のひとつですよね。
イベントレポート
大手企業からNPOへ。その背中を押したのは・・・
本セミナーでは、石渡さんのキャリア、そして日本カーシェアリング協会の取り組みについてお話ししていただきました。 東日本大震災を機に、損害保険の会社に就職した石渡さん。
交通事故の支払業務などを行うなかで、保険会社に出来ることに限りがあることに悩みを持ち始めます。
経済状況が苦しい人は、十分な補償をつけることが出来ない。
交通事故自体を減らせるものはないだろうか。
そんなときに出会ったのが、カーシェアリングプロジェクト。
寄付車を災害支援に活用したり、寄付車を使って地域のコミュニティを作ったりすることで高齢者の事故の防止や災害の助けになると感じ、ボランティアとして関わることとなりました。
カーシェアリングの活動により力を入れたい!と思った石渡さん。
転職を考えるも、なかなか一歩を踏み出せずにいました。
キャリアを積むことはできるのだろうか。
今よりも収入が減ってしまう。生活はできるのだろうか・・・
そんなとき、ファンドレイジングとの出会いが石渡さんの背中を押します。
ファンドレイジングを知ることで一歩を踏み出した石渡さんは、2017年から地域おこし協力隊として日本カーシェアリング協会に参画。
石巻の現状や課題に直面しながら活動を進め、また並行して通っていたファンドレイジングスクールにて準認定ファンドレイザー資格を取得し、現在は正式に協会スタッフとして活躍しています。
困ったときの移動を支える、日本カーシェアリング協会
セミナーでは、石渡さんに日本カーシェアリング協会の取り組みについても詳しくお話ししていただきました。 一般社団法人日本カーシェアリング協会は、寄付で集めた車を活用して社会課題解決に取り組む非営利団体です。 主な活動としては、以下の3つ。 ・高齢者の移動を支えるコミュニティ・カーシェアリング ・被災地の移動を支えるモビリティレジリエンス ・困窮者の移動を支えるソーシャル・カーサポート 免許を返納した高齢者の方の生活を地域で支えるコミュニティを作り、災害時の車不足にいち早く駆け付け瓦礫の撤去車や移動を支え、また車を貸し出すことで自立支援をサポートする。 まさに困ったときの地域のヒーローですよね! 日本カーシェアリング協会の詳しい取り組みについては、是非こちらからご覧ください。 日本カーシェアリング協会ホームページ 石渡さんは、「収入は減ったし転職は怖かったけれど、後悔はしていないし、踏み出してよかった」と仰っています。 安定している職業からの転職。中々一歩を踏み出すことは難しいですよね。 それでも、「自分は何を実現したいのか?そのために必要な選択は何なのか?」を考え、勇気を出してみる。 その一歩が社会を変える大きな力に繋がっていくのかもしれません。 寄付や社会的投資が進む社会の実現を目指す、日本ファンドレイジング協会
セミナー後半では、日本ファンドレイジング協会の事務局長小川愛さんとプログラム・ディレクターの岩元暁子さんにもご登壇いただき、「ファンドレイジングとは?」「社会貢献とは?」についてもお話ししていただきました。 ファンドレイジングとは、非営利組織・団体における資金集めのこと。 資金だけではなく、「どのような社会の課題を解決するのか?」「そのために何が必要なのか?」 組織戦略を考え、資金調達をしていかなければなりません。 日本ファンドレイジング協会では、ファンドレイジングを実践し職業とするファンドレイザーの育成、地域ごとのファンドレイザーのコミュニティ(チャプター)作り、年に1回の大きなカンファレンスの実施を行っています。 「社会のために何かしたい」 そんな想いを行動に移し実現していくために、ファンドレイジングを学ぶことはとても大切な一歩ですよね。 協会では、ファンドレイジングスクールの無料説明会も行っています。 ご興味のある方は、是非ご参加ください! 【オンライン開催】ファンドレイジング・スクール無料説明会(だれでも視聴可) 参加された方からのご感想
迷いや葛藤を表現できるまっすぐな姿は、受講者だけでなく事業のなかで出会う方を見方にしていける能力だと思いました。ありがとうございました! 石渡さんご自身のキャリア選択、葛藤、想い、など赤裸々なお話を聞けて良かったです。 ファンドレイジングという言葉は知っていましたが、内容を聞き、更に興味を持ちました。 多くのご意見ご感想をいただき、ありがとうございました。」
次回開催について
今回のセミナーは、事前にお申込みいただいた方にURLを共有しWEB上で開催しました。 来月4月20日(火)19時30分には、今回の「災害」×「ローカルキャリア」企画の第3弾として、「地域のなかで『生きる』ことを考える~西日本豪雨からの学び~」をテーマにしたオンラインセミナーを開催いたします。 第3弾では、2018年の西日本豪雨を機に避難機能付き共同住宅を開所した津田由起子さんをお呼びします。 西日本豪雨での被災を機に、真備で暮らす人の「家に帰りたい」「真備で暮らしたい」という想いを受け、災害時の避難の仕組みづくりを目的とした「サツキプロジェクト」を立ち上げた津田さん。 防災や災害時の地域との関わりについて、お話ししていただきます。 ご興味のある方は、是非以下のURLよりお申し込みください。 ■参加方法:https://peatix.com/event/1828010/ ※「災害」×「ローカルキャリア」3か月連続企画 災害が転機となり大きな決断をし、今も地域とともに「ローカルキャリア」を築いている3名の方に、「専門職」や「ビジネス」「防災」など、それぞれの観点からお話を伺う企画です。