1.認定看護管理者の資格とは
認定看護管理者とは、病院や介護関連施設の管理者として優れた資質を持ち、
組織を発展させる能力があると認められた看護師に与えられる資格で、日本看護協会の認定看護管理者認定審査により認定されます。
看護師としてはもちろん組織のマネージメント能力を問われる資格で、看護部長や副院長・介護関連施設の副施設長などへのキャリアアップを考えるうえでも取得しておきたい資格です。
2.認定看護管理者はどんな仕事?
「管理者」という名前のとおり医療・福祉の現場でリーダーとしての役割を担います。仕事内容はおもに以下のようになります。
(1)保健・医療・福祉の政策等に関する知識、組織管理に必要な理論、経営的な視点を習得し看護サービスの向上を図る
(2)看護師の教育体制を整え人材を育成し、人事配置を行う
(3)看護師が長く働けるように職場環境を整える
(4)医療事故を防ぎ安全管理を推進する
3.認定看護管理者になるには
【受験資格】看護師免許を取得したのち通算5年以上の実務経験に加え、下記のいずれかの要件を満たすこと。(1)認定看護管理者教育課程サードレベルを修了している(2)看護系大学院で看護管理を専攻し修士号を取得後、実務経験が3年以上ある(3)師長以上の管理職経験が3年以上あり、看護系大学院において看護管理を専攻し修士号を取得している(4)師長以上の管理職経験が3年以上あり、大学院において管理に関連する学問領域の修士号を取得している※2022年から受験資格要件が変更になります。詳細は日本看護協会のホームページを参照。(HP→http://www.nurse.or.jp/)【取得までの流れ】審査申請の申込期間:2月下旬~3月上旬◆資格審査の申込方法以下3つの手続きすべてが必要です。(1)日本看護協会ホームページの『資格認定制度 審査・申請システム』より申請(2)審査料50,760円(税込)を振込(3)認定審査申請書類を提出する(オンラインと郵送どちらも必要)審査申請の入力、申請書類の提出先と振込先については日本看護協会のホームページを参照。◆試験についての詳細・書類審査の合格発表:4月中旬書類審査の合格者は引き続き筆記試験を受けます。・試験地:宮城会場 、東京会場、愛知会場、大阪会場 、福岡会場・試験内容:マークシート20問、論述問題2問(合計120分)・筆記試験日程:5月中旬ごろ・合格発表:7月中旬ごろ ◆資格の交付と登録7月中旬ごろに審査合否を『資格認定制度 審査・申請システム』より確認のうえ、合格者は認定登録料50,760円(税込)を振り込みます。8月下旬ごろに認定証が送付されます。以降5年ごとの更新となりますが、更新にも審査があり以下2つが条件となります。(1)看護実践時間が2,000時間以上に達していること(2)実践活動等の実績及び学会等への参加や発表の実績が合わせて50点以上であること 『認定看護管理者 自己研鑽の点数換算表』をもとに計算します。「各年10点以上であること」などの条件もあります。この2つは仮に資格を失った場合に再認定審査を受ける条件でもあります。 4.認定看護管理者をとるのは難しい?
試験は年に1度で書類審査合格者が筆記試験に進むことができます。
筆記試験は20問のマークシートと2問の論述問題で、合格率は70%以上です。
5年以上の実務経験と教育課程の修了といった受験資格を満たすことがまず大きな課題となり、受験資格を獲得できれば難易度はそこまで高くないと言えます。
5.認定看護管理者をとることのメリット・デメリット
認定看護管理者の資格を取ることでスキルアップができるほか、管理職への昇進・昇給が期待できます。
また「管理者」としての視点から業務を行うことで意識を高く持つようになり、職務により積極的に取り組むきっかけにもなります。
デメリットとしては取得に時間と費用がかかるのに対し、必ずしも管理職の道が約束されているわけではないということです。
6.認定看護管理者の現状と今後
現在国内で働く看護師のうち認定看護管理者の割合は1,000人に1人程度です。
高齢化社会において医療や福祉へのニーズがますます高まっていく中、資格を持つことで能力を周囲に認知されさらに活動の場を広げることができます。
看護師不足解消のためには看護師の離職を防ぐことが重要です。
認定看護管理者として看護師が長く働けるように環境を整えることも大きな役割のひとつです。
現場をよりよく変えるチャンスもあり、やりがいのある将来性の高い資格といえます。