1.慢性腎臓病療養指導看護師の資格とは
日本腎臓看護学会は、慢性腎臓病看護現場における看護ケアの質を向上させることを目的とし、熟練した技術と豊富な知識を用いて患者さんとそのご家族に対して高水準の看護実践ができる安全で安楽な環境を提供するために慢性腎臓病療養指導看護師を養成し、平成15年度より、慢性腎臓病療養指導看護師(旧:透析療養法指導看護師)の認定資格制度を導入しました。
2.慢性腎臓病療養指導看護師はどんな仕事?
慢性腎臓病等の病気はメタボリックシンドロームなどの生活習慣病との関連が大きいので腎臓の機能が低下しつづけ、正常な状態に働かなくなっていくことで患者さんの身体に大きなリスクがある病気です。
なので、腎不全や慢性腎臓病の患者さんのケアや日常生活や食生活の指導をし、再発防止などを含め健康増進に努めます。
また、患者さんとの各医療スタッフの連携を円滑に進めるための役割も慢性腎臓病療養指導看護師は担っています。 さらに実践的モデルを示すことにより、医療チームのリーダーシップを発揮し慢性腎臓病の看護の質向上に主体的に取り組んでいくのです。
3.慢性腎臓病療養指導看護師になるには
【受験資格】
・日本国の看護師の免許を取得していること(准看護師不可)
・日本腎不全看護学会正会員歴が通算して3年以上あること ※平成29年度会員歴(平成29年度年会費納入済み)を含む
・慢性腎臓病看護領域実務経験が、年度末(8月31日)の時点で通算3年以上であること
・看護実務経験が年度末の時点で通算5年以上であること ※慢性腎臓病看護領域実務経験3年以上を含む
・慢性腎臓病看護領域(CKD・血液透析・腹膜透析・腎移植のいずれか)実践報告を1例提出すること (管理的業務に従事している場合は、看護管理理事例を1事例提出するものも可)
受験資格ポイントが30ポイント以上取得できていること ※ポイントの内訳は透析関連研究会(地方の研究会を含む)学会のホームページを参照
【取得までの流れ】
◆資格審査の申込方法
公式ホームページから申し込み用紙を記入後、FAXで受験申請書類を請求します。
◆試験についての詳細
<受験資格審査>
受験料30,000円の振り込みをし、受験申請書類を揃えて申請してください。 上記の受験資格が正しく揃っており、審査で受験資格ありとなった方に受験票と会場案内の送付がされます。
※受験資格無しとなった場合、受験料は返金され送料等は返金されません
<受験日>
指定された日時の受験会場に開始20分前には着席していること。
試験会場は東京・大阪など
※詳細は受験者に通知します(基本的に受験者は試験会場の選択はできません)
<合格発表>
合否については、受験終了から1か月程で結果通知が郵送されます。
資格の交付と登録
・合格された方は登録料10,000円を指定された銀行口座に振り込んでください。登録料の振り込みを確認次第、認定証が発行されます。(※振り込みは郵便局ではしないようにしてください。)
・認定証は交付から5年の有効期限となっていますので更新が必要です。
4.慢性腎臓病療養指導看護師をとるのは難しい?
名称からしてすごく難しそうな感じはしますが毎年の合格率は90%前後を推移しているようです。受験資格を揃えるのが少し大変ですが、しっかりと準備をして学習を怠らなければ十分狙える資格となっています。
5.慢性腎臓病療養指導看護師をとることのメリット・デメリット
認定看護師などのように休職して教育課程を学ぶ必要がないため、仕事との両立がしやすく、金銭面や体調において特に心配しなくても良いでしょう。
慢性腎臓病療養指導看護師は病棟勤務扱いと同等になるので、日勤のみで働く看護師と比べ、高給与をもらえることもメリットの一つです。 さらに、資格手当の他にも透析手当てがでる医療機関も有ります。
しかし、透析の看護職についた場合は他領域の医療行為をあまり必要とされないため一般的な看護スキルや技術がおろそかになってしまいます。
将来的に病棟勤務を希望しているのであれば、総合病院への入職・転職をおすすめします。ただし、慢性腎臓病療養指導看護師の資格を更新する際にいくつか更新条件が必要ですので、資格取得後は、条件を満たすことのできる職場に勤務しましょう。
6.慢性腎臓病療養指導看護師の現状と今後
現状、慢性肝臓病療養指導看護師に期待される臨床実践での能力の義務付けは、受験と更新時の事例レポート提出のみです。
資格取得において得た知識や技術を現場でどのように落とし込んでいくのかという点では課題が残ります。 学会では、全国的に透析看護レベルの底上げ、また個々のスキルアップや教育において支援を強め、資格取得者がそれぞれの職場でスキルを活かしていけるような取り組みを進めています。
このような背景から、慢性肝臓病療養指導看護師は今後の活躍に大きな期待が寄せられています。 また、日本国の慢性肝臓病(CKD)患者は成人人口の8人に1人に上り、高齢化や生活習慣病などが増加し続けるという見解もあります。
よって、今後はより多くの“透析に関わる看護師”が必要です。
そのうえで、看護される立場の患者さんやそのご家族が安心できるよう、医療従事者には“質の良い看護”を提供する義務があります。
近い将来、各施設で慢性肝臓病療養指導看護師の需要が高まっていくことが予想されますので、資格取得を検討しているなら早いほうが良いでしょう。