看護師として就職する際には、就職希望先の病院に職務経歴書を送る必要がある場合も。
今回は職務経歴書について、詳しく紹介します。
履歴書と職務経歴書の違い、職務経歴書の書き方のコツ、送り方を解説しますので、看護師として就職を目指している方必見です。
看護師の職務経歴書とは
看護師として病院で勤務するために必要な職務経歴書。
就職活動の際に必須の書類といえば履歴書ですが、職務経歴書の提出を求められる場合もあります。
職務経歴書は、履歴書とは違った役割を持ちます。
履歴書は、自身の略歴を定められたフォーマットに則って記載する書類です。
一方職務経歴書は、その名の通りこれまでの仕事の経歴や持ちうる能力をアピールするための書類です。
基本的には下記の内容を記載します。
・タイトル(標題)
・日付、氏名
・経歴概略
・職務経歴
・取得資格
・自己PR
・志望動機
職務経歴書には定形のフォーマットはなく、自身で何ができるのかをコンパクトにまとめて提出します。
レイアウトや文字の大きさなど、見やすさもアピール要素になりますので、工夫しましょう。
また、面接では職務経歴書の内容に基づいて質問される場合もあります。
質問内容や回答方法を想定しながら、作成していきましょう。
次章からは、職務経歴書の具体的な記載内容を解説していきます。
タイトルの書き方
職務経歴書には、タイトル(標題)を付ける必要があります。
これが何の書類なのか、ひと目で見てわかるように標題を付けましょう。
基本的には「職務経歴書」と記載します。
日付・氏名の書き方
「職務経歴書」というタイトルの右下には、タイトルよりも小さな文字で日付、氏名を記載します。
日付は、西暦でも和暦でも構いませんが、職務経歴などに記載する書き方と統一しましょう。
氏名は、名字と名前の間に一文字分スペースを開けます。
経歴概略の書き方
タイトル、日付、氏名を記載した後には、経歴の概略を記載します。
その後に記載する職務経歴を簡単にまとめるような内容を書きましょう。
どのような病院で何年程度、どのような業務を行ったのか、簡潔に記載します。
あまり長くならずに、2〜3行程度でまとめるのが理想的です。
例)総合病院の循環器病等にて5年間看護師業務に従事しました。循環器病棟の看護ケア全般、新人教育等を行いました。その後クリニックにて3年間、看護師業務全般を経験しています。
職務経歴の書き方
職務経歴は、職務経歴書のメインとなる内容です。
これまで働いていた職場について、詳細な情報を記載していきます。
職務経歴は、西暦または和暦から始まり、就職または退職月まで記載します。
また、病院名や会社名は省略せずに正式名称で記載してください。
病院や会社の規模がアピールポイントとなる場合は、病院の位置や従業員数や病床数についても書き加えます。
会社名の下の行には、詳しい職務内容を記載しましょう。
例)2010年4月〜2015年3月 医療法人財団〇〇病院(〇〇市、従業員〇〇人、病床数〇〇床)
【職務内容】■正社員として循環器病棟に配属
・病棟内看護業務全般
・循環器疾患のケア
・術前のオリエンテーション、術後の生活指導
・ドレーン管理
・プリセプターとして新人教育を担当
・看護研究として「〇〇について」を発表
これまでに勤務していた病院が複数ある場合は、職場ごとにボックスなどで囲み、分かりやすく記載します。
取得資格の書き方
これまでに取得した資格について記載します。
取得した時期の古い順に記載する方法もありますが、アピールになる資格から順に記載する方法もおすすめです。
資格名についても、正式名称で記載しましょう。
例)2005年 看護師免許取得
2008年 日本救急医学会認定〇〇資格取得
2010年 普通自動車免許取得
自己PRの書き方
自己PRでは、自分の長所やアピールポイントを記載しましょう。
上手く能力をアピールできるように、具体的なエピソードを記載するのが良いでしょう。
ただし、長々と書きすぎることがないように、1,2個のエピソードに絞って記載してください。
例)患者様の生活歴をもとに、患者様自身の残存能力を活かす看護が得意です。過去に勤務していた慢性期病棟では、患者様に個別の生活指導を実施しました。患者様から「あなたが担当してくれてよかった」というお言葉を頂戴しました。
志望動機の書き方
志望動機には、就職希望先の病院を志望する理由を記載します。
どうしてその病院に就職したかったのかが分かるように記載しましょう。
志望動機も長々と記載しすぎず、また履歴書の内容と重複しないように簡潔にまとめてください。
例)これまで私は慢性期病棟で勤務していました。疾患発症前の患者様に関わり、病気の予防を手助けしたいと考え、地域の方々の健康維持に寄与されている貴院を志望いたしました。
看護師の職務経歴書の注意点
続いては、職務経歴書を作成する際の注意点を紹介します。
いくつかの注意点を守って、読みやすい職務経歴書を目指しましょう。
パソコンで作成しよう
職務経歴書は基本的に、パソコンで作成します。
パソコンで作成しなければならない決まりはありませんが、見やすく作成することが重要です。
フォントは明朝体で、文字サイズは10.5ポイントで記載するのが適しています。
少ない枚数でまとめるために、文字を小さくしてびっしりと記載するのは避けましょう。
手書きで作成したい希望がある場合には、鉛筆やシャープペンシルは使用せずに黒のボールペンや万年筆を使用しましょう。
また、手書き用の職務経歴書用紙も販売されていますので、活用するのもおすすめです。
A4サイズで1~2枚にまとめよう
職務経歴書は、A4サイズで作成します。
A4サイズの用紙を縦に使用します。
白色の無地の用紙を使用しましょう。
枚数は、多くても2枚程度にまとめます。
片面印刷でプリントアウトするのが適しています。
たくさん書きたいからといって、両面印刷するのは避けましょう。
箇条書きで記載しよう
職務経歴書は、基本的に箇条書きで記載します。
自己PRなどは、文章にして作成しますが、その他の情報は箇条書きで簡潔に記載しましょう。
長々とした文章で記載すると、文字が多く読みづらい印象を与えてしまいます。
見やすいレイアウトで記載しよう
職務経歴書は文字だけの資料になりますので、行間を詰めて記載してしまうと読みづらくなってしまいます。
適度に行間を調整し、読みやすいレイアウトを心がけましょう。
また、タイトルの大きさや、見出しの大きさを通常の文章よりやや大きめに設定したり、太字に装飾することで、より見やすい仕上がりになります。
ボックスなどのレイアウトも上手に活用しましょう。
履歴書との矛盾や重複を避けよう
職務経歴書と履歴書は、セットで送付しますので、重複した内容ばかりだと手抜きの印象を与えてしまいます。
自己PRなど、どちらにも記載する項目もありますが、全く同じ内容を記載するのはおすすめできません。
内容に矛盾が生じないように配慮しながら、表現を変え、重複を避けましょう。
誤字脱字に注意しよう
履歴書も同様ですが、職務経歴書にも誤字や脱字が無いようにしましょう。
誤字脱字の多い職務経歴書では、ミスの多い人だという印象を与えてしまいます。
仕事でもミスが多いのではないかと思われてしまいますので、送付する前にしっかりと確認してください。
不安な場合は、声に出して読んだり、誰かに読んでもらうのも良いでしょう。
経歴別!職務経歴書の書き方のコツ
続いては、過去の経歴別に職務経歴書の書き方のコツを紹介します。
過去の経歴に再就職においてマイナスとなってしまう要素があっても、上手にアピールすることで、良い印象を与えることができます。
転職回数が多い方や、待遇面に不満があって退職した経験がある方は、紹介する書き方を参考にしてください。
退職理由を書きたくない場合
職務経歴書に退職理由を記載したくない場合は、無理に記載する必要はありません。
ですが、退職理由はマイナス面ではなくプラス面を上手く表現して記載することで、ポジティブなイメージを与えることができます。
次章では、転職回数が多い場合や人間関係が理由で退職した場合の例文を紹介していますので、参考にしてください。
転職回数が多い場合
いくつかの病院を短期間で辞職している方は、転職回数が多いことを前向きにアピールしましょう。
転職回数が多いと分かると、すぐに仕事を辞めてしまうのではないかと思われてしまう可能性があります。
すぐに辞めるつもりはないこと、これまでさまざまな病院で多くの看護技術を経験したことを上手に自己PRに記載しましょう。
例)私の強みはどのような環境でも、前向きに取り組み、さまざまな技術を吸収できることです。物事を前向きに捉えることを心がけています。新しい環境で学べることはないかを常に考え、さまざまな看護技術を習得してまいりました。〇〇病院では、日本救急医学会認定〇〇資格取得を取得いたしました。貴院でも新しい知識を豊富に吸収し、先輩方とともに満足度の高い看護を継続して提供していきたいと考えております。
人間関係が理由で退職した場合
人間関係が理由で退職した場合には、どのような理由があって退職したのか詳細に記載する必要はありません。
直接的に記載する必要はありませんので、遠回しに協調性をアピールしたり、前向きな気持ちを記載するのがおすすめです。
例)これまで〇〇病院にて5年以上勤務してまいりました。基本的な看護師業務を一通り経験し、新人教育や看護研究などにも取り組んでまいりました。今後、より一層看護師としてさまざまなスキルを取得し、スキルアップを目指すために、環境を変えてチャレンジしたいと考えました。最先端医療に取り組んでいる貴院で、さまざまな知識や技術を吸収し、より高精度な看護を提供できるようになりたいと考えております。
ライフワークバランスが理由で退職した場合
ライフワークバランスが理由で退職した場合には、今後はどのような働き方がしたいのかを上手にアピールする必要があります。
ただ、休みの時間が多くほしいというような、怠けた印象を与えないために、ライフスタイルを優先したい理由を記載しましょう。
結婚や出産などのライフイベントや、年齢などを理由に記載すると、悪い印象を与えずにアピールすることができます。
例)出産を機に、子育てと仕事を両立できるような働き方がしたいと考えるようになりました。フルタイムほど、長時間勤務する働き方は難しいと考えていますが、パートタイムでも自身の看護スキルを十分に発揮できるよう努めてまいります。
収入が理由で退職した場合
収入が理由で退職した場合には、お金が理由ということを間接的にアピールしましょう。
スキルアップに伴い、賃金もアップして欲しいことを上手に伝えましょう。
収入が、と記載するよりはスキルアップを目指したいと言う方向性で記載するのがおすすめです。
例)これまで20年以上看護師業務に従事してまいりました。今後は貴院で副看護師長として、ゆくゆくは看護師長といった管理職として、看護師の統括を担うポジションにつきたいと考えております。
看護師の職務経歴書の送り方
最後に職務経歴書の送り方を紹介します。
送付する場合、直接渡す場合の注意点を解説します。
添え状の書き方
職務経歴書を送る際には、添え状を同封します。
添え状とは、書類の一番上に載せて送る、どのような書類を送付したのかが分かる資料のこと。
A 4サイズを縦に使用して記載します。
基本的には、添え状も職務経歴書同様にパソコンで作成します。
以下の内容を簡潔に記載しましょう。
・日付
・宛先
・連絡先
・氏名
・応募の経緯や応募書類に関する本文
封筒の選び方・書き方
職務経歴書を送付する封筒は、書類を折らずに入れられるよう、角2型を選択しましょう。
白、薄茶色の封筒で、応募書類はクリップで留めて崩れないようにするのが適しています。
応募書類をまとめてクリアファイルに入れ、封筒に入れるのも良いでしょう。
封筒の表面には送付先の住所、名前を記載します。
左側には「応募書類在中」と朱書きします。
封筒の裏面には自分の住所と名前を記載します。
封筒にのり付けし、〆印を書き加えましょう。
切手は金額不足で届かないことが無いように注意しましょう。
直接渡す際の注意点
職務経歴書を志望先の病院に手渡しする際にも、表面と裏面に必要な情報を記載しますが、封をする必要はありません。
また、持参する場合は切手を貼る必要もありません。
まとめ
今回は看護師の職務経歴書についてまとめました。
職務経歴書は自身の能力をアピールする書類です。
分かりやすく読みやすい書き方を意識し、志望先の病院に好印象を与えましょう。