これから准看護師資格を取ろうかと考えているあなた。
正看護師と准看護師はどう違うのか。
准看護師の良い点と悪い点は何か。
気になりますよね。
そこで今回は正看護師と准看護師の違いを比較検証しながら、准看護師資格のメリット・デメリットを解説していきます!
看護師と准看護師の資格要件の違い
| 正看護師 | 准看護師 |
資格要件 | 厚生労働大臣が発行する国家資格 | 都道府県知事が発行する資格国家資格ではない |
必要な学歴 | 高校卒業 | 中学卒業 |
人数 | 全国に約121万人 | 全国に約35万人 |
正看護師が国家資格であるのに対して、准看護師は都道府県知事が発行する資格となり国家資格ではありません。
資格要件で注目すべきポイントは、受験に必要な最終学歴です。
正看護師は高校卒業資格が必要ですが、准看護師は最終学歴が中学卒業でも受験することが可能です。
◆准看護師のメリット◆
中学卒業の最終学歴があれば資格取得が可能!!
看護師と准看護師の資格取得方法の違い
| 正看護師 | 准看護師 |
取得方法 | ・看護大学 4年 ・看護短大 3年 ・専門学校 3年 いずれかを卒業 ↓ 看護師国家試験に合格
| 准看護師養成所 2年 を卒業 ↓ 准看護師認定試験に合格 |
学費 | 国立大学 250万円 私立大学 400~600万円 専門学校 150~500万円 (いずれも目安の金額) | 養成所 約200万円 |
奨学金 | 学校によって制度有り | 学校によって制度有り |
コース | 全日制 | 半日制もある |
授業時間 | 3000時間以上 | 1890時間以上 |
■資格を取得するには■
資格取得までに、正看護師は3年以上、准看護師は2年の期間を要します。
正看護師の資格を取得するには、
看護大学(4年)、看護短大(3年)、看護師養成学校(3年)のいずれかを卒業し、看護師国家試験に合格しなければなりません。
准看護師の資格を取得するには、
准看護師養成所(2年)を卒業し、准看護師試験に合格しなければなりません。
◆准看護師のメリット◆
2年間の学習で資格取得が可能!
■看護学校・養成所の学費■
気になる学費について。
学校によって金額はさまざまですが、正看護師よりも准看護師の学費のほうが断然安いといえるでしょう。
正看護師の場合、最新の技術や研究が導入されている私立大学は高めの傾向にあります。最も学費が安いのは国立の看護大学です。
目安として、初年度の入学金や授業料は国立大学ではおよそ80万円、私立大学は100万~200万程度、専門学校は50万~200万円と幅があります。
加えて実習費や教材費、設備費(100万円程度)などが別途必要です。
学校によっては奨学金制度を利用することができます。
一方で准看護師養成所の学費は、入学金や授業料は2年間でおよそ100万円程度。
別途、実習費や教材費など(100万円程度)が必要となります。
こちらも奨学金制度を利用することができます。
また准看護師養成所は全日制の学校だけではなく、半日制のコースもあります。
そのため、「仕事をしながら」「育児をしながら」でも資格取得を目指すことができます。
◆准看護師のメリット◆
・学費が抑えられる!
・働きながら通える!
■授業内容■
正看護師と准看護師では、学校での勉強量や内容に大きな差があります。
正看護師になるためには、専門学校で3年間、もしくは大学で4年間、3000時間以上の授業を受けなければなりません。
大学では論理的思考、問題解決の力を身につける授業が多いことが特徴です。
医療分野の授業に加えて、国語や英語などの一般教養、統計学や情報科学といったカリキュラムが充実。
これにより、患者の症状や問題に対してどんな治療や処置が必要かを判断し、正しい手順で業務を行える力を養います。
専門学校は実習時間が多いことが特徴で、実践に対応できる技術や知識を最短で身につけるためのカリキュラムとなっています。
准看護師になるためには、准看護師養成所で2年間、1890時間以上の授業時間を要します。
医療現場で即戦力となるよう、実習時間が多くとられています。
授業は最終学歴が中学卒業の人でも対応できるよう、大学に比べるとかなりやさしい内容になっています。
◆准看護師のデメリット◆
授業内容に差があり、正看護師ほど深く学ぶことができない
■受験の難易度■
やはり准看護師よりも正看護師のほうが入試問題のレベルが高く、難易度は上がります。
入試が最も難しいのは国公立の看護大学です。学費が安い分、受験者数も多いため倍率も非常に高くなります。
専門学校では社会人向け入試を行っている学校もあります。
専門学校の場合は、学校によってカリキュラムやレベルもさまざま。
学校数もかなり多いため、事前に見学や下調べはしたほうが良いでしょう。
准看護学校の入試問題は大学に比べるとやさしいですが、受験者数が多く倍率は高い傾向にあります。
◆准看護師のメリット◆
正看護師よりも試験の難易度は高くない
看護師と准看護師の働き方や待遇の違い
| 正看護師 | 准看護師 |
業務内容 | 自身の判断で医療行為や患者の ケアを行うことができる | 正看護師と業務内容は変わらないが、必ず医師や看護師の指示の元に行う
自分の判断による医療行為はできない |
勤務場所 | どの医療現場でも働くことができる | どの医療現場でも働くことができるが、以下の傾向有り ■診療所や、日勤、パート勤務で重宝 ■大学病院や総合病院の求人は少ない |
給与 | 平均年収478万円 厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査」参照 | 看護師よりも下回る |
キャリア | 管理職への昇格
専門看護師・認定看護師 へのキャリアアップ | まずは正看護師になる必要がある |
■仕事内容■
正看護師と准看護師は基本的に同じ業務を行うことができますが、権限や働き方において大きな違いがあります。
正看護師は自身の判断で診療補助や患者のケアを行うことができ、准看護師や看護補助者に指示を出すことができます。
しかし准看護師は医師や看護師の指示を受けての業務しか行うことができません。自身の判断による医療行為は禁止されています。
これは役割や指示系統を決めることで、責任の所在を明確にするため徹底されています。
◆准看護師のデメリット◆
主体的な医療行為はできず、必ず医師や看護師の指示のもと行動しなければならない
■勤務場所■
正看護師、准看護師問わず、働く病院や施設について法律による規定はありません。
どの医療現場でも働くことが可能です。
ただし実際の求人では、大学病院や総合病院は正看護師を積極的に採用する傾向が高く、准看護師を採用していない病院も非常に多いという現状があります。
病院側としては「新人教育に力を入れていきたい」「より深い知識や技術を習得している看護師を採用したい」という意向があるようです。
逆に診療所や日勤のみ、パート勤務であれば、給与水準が低い准看護師が重宝されています。
◆准看護師のデメリット◆
総合病院や大学病院の求人が少ない
■給与・キャリア■
待遇面に関してはどうなのでしょうか?
実は、正看護師と准看護師、たとえ行う業務は同じでも、給与額には大きな差があります。
一概には言えませんが、准看護師のほうが月に平均で約5~6万円(年間で約70万円)低いという調査結果が出ています。
また准看護師はどれほどベテランになったとしても、新人看護師へ指示や教育を行うことができません。
そのため管理職などキャリアアップを目指す場合は、看護師資格を取得して一からキャリアを築いていかなければいけません。
◆准看護師のデメリット◆
・正看護師よりも給与水準が低い
・管理職にはつけない
・新人への指示や教育ができない
なお、准看護師から正看護師になるには、看護師学校や養成所に2年(定時制は3年)通い、国家試験に合格しなければいけません。
もしくは准看護師として7年の実務経験があれば、2年の通信制で看護師資格を取得することも可能です。
◆准看護師のメリット◆
准看護師から正看護師へキャリアアップすることができる!
■まとめ■准看護師のメリット・デメリット
准看護師と看護師では資格内容、働き方や待遇において明確な違いがあります。准看護師のメリット・デメリットをまとめると、メリット
:2年で取得できる。 仕事や育児をしながら学校へ通うことも可能。 パートタイムや日勤などライフスタイルに合わせた働き方が選べる。デメリット
:正看護師と比べて給与水準が低い。 自分で判断して業務を行うことができない。 キャリアアップが難しい。となります。これらの内容を踏まえ、以下のようにおすすめします。◇こんな方は准看護師がおすすめ◇
「できるだけ早く現場経験を積みたい」「学費の工面が難しい」「働きながら資格取得したい」「近所のクリニックやパートで働きたい」◇こんな方は正看護師がおすすめ◇
「看護師としてキャリアアップを考えている」「大きな病院でスキルを身につけたい」「収入もかなり重要」「学費や年数がかかっても、長い目で見れば正看護師の方がいいかも・・・」また、先延ばしになっていますが、准看護師という職種を廃止して看護師に一本化しようとする動きがあります。もしかすると准看護師という職種はいずれなくなるのではないかといわれています。資格取得を目指すなら早めに決めて行動したほうがいいでしょう。看護師は、なるのも、なってからもとてもハードな職業。さまざまな事情がある中で看護師を目指すことを決めたあなたは、相当な覚悟を持っていることと思います。看護師、准看護師のどちらを目指すかは、「なぜ看護師になりたいのか」「どのような働き方やキャリアを望むのか」というあなたの気持ちが一番大切です。まずは資格取得に向けての情報収集から始めてみてください!