子どもたちのために笑顔で働く保育士さん。けれど現実は、『仕事量』『人間関係』『保育観のズレ』などさまざまな悩みを抱えていて、転職を視野に入れている方も多いのではないでしょうか。
いざ転職活動を始めるにしても、時期によっては多忙を極める保育士さんにとってタイミングはとても重要なものですよね。
今回、「転職活動を始めるにはいつがいいのか」「転職するのにどれくらい期間が必要なのか」「今の職場を退職するのはいつがいいのか」といった“ 保育士さんの転職時期 ”に関する疑問について詳しく解説していきます。
保育士の転職時期は4月がおすすめ!その理由は?
ズバリ!保育士さんの転職において、もっとも理想といえるタイミングは新年度が始まる4月入職だといわれています。なぜ4月入職がいいのでしょうか。その理由について説明していきます!
理由1:引き継ぎがしやすい
保育園には『引き継ぎが難しい時期』と『引き継ぎをしやすい時期』があります。
年度末は新年度に向けて職員の人事異動や子どもたちのクラス替えがあり、退職の有無にかかわらず後任者と引き継ぎを行います。ですので、限られた時間の中で大事な情報を確実に伝えるためにも年度末のタイミングで引き継ぎを行いましょう。
通常、保育士の引き継ぎは業務の合間を縫って、後任者に今抱えている作業や担当するクラスの様子をすべて伝えなければなりません。年度末に行う引き継ぎ業務を利用することで、確実に後任者に伝えることができるのです。
理由2:保護者や子どもたちを不安にさせないため
4月入職をおすすめする理由のひとつに『保護者や子どもたちへの配慮』があります。
もし、いつも一緒に過ごしている先生が、突然いなくなってしまったら...当然子どもたちは寂しがってしまいますし、保護者も不安な気持ちのまま子どもたちを預けなければなりませんよね。
年度途中の退職は、保護者や子どもたちへのマイナスの影響を与えてしまう可能性があるため園側でも保育士の入れ替わりを避ける傾向にあります。
4月の進級時期に転職することで子どもたちも抵抗なく新しい先生を受け入れられますし、保護者への挨拶にも充分な時間を確保することができますよ。
保育士が転職に対して懸念してしまう理由
厚生労働省が行った雇用動向調査によると平成30年の医療・福祉分野(保育士含む)の離職率は15.5%。全職の平均離職率は15.4%といった点から、15.5%という数字は特別高いわけではないことがわかります。しかしながら、この数字はあくまで「退職した人」の割合となり、今現在でも退職しようか迷っている保育士がそれ以上に多くいることは間違いありません。(出典:厚生労働省「平成30年雇用動向調査結果の概要 概況全体版」) そもそもなぜ辞めたくなるのか
そもそも保育士が「辞めたい」「転職したい」と考えてしまうのにはどんな原因があるのでしょうか。下記のグラフをもとに保育士の離職理由についてみていきましょう。
厚生労働省が令和元年に公表した『過去に保育士として就業した者が退職した理由』によると、
【保育士の離職理由】
1位、職場の人間関係
2位、給料が安い
3位、仕事量が多い
4位、労働時間が長い、残業が多い
ほか、妊娠・出産、健康上の理由、結婚、子育て・家事、引っ越し、など
といった結果となりました。
■職場の人間関係
もっとも多い理由は「職場の人間関係」です。基本的に保育園では1クラスを複数の保育士が担当します。子どもたちの安全を確保するためにも高いレベルの連携プレイが求められるため、些細なすれ違いによってトラブルが発生しやすい傾向にあります。相性の良し悪しがあるなかで協力して業務を行わなければならない保育体制とトラブルの積み重ねがストレスの原因となり、退職を決意してしまう結果となってしまうようです。
■給料が安い
次に多いのが「給料が安い」といった理由です。平成30年時点での保育士の平均給与は男女合わせて月29.8万円。全職種の平均月収は41.4万円と10万円以上の差があります。さらにこれはあくまで公営・私営どちらも含めた平均となりますので施設によっては各種手当や保険など福利厚生が整っていない保育園も少なくありません。仕事量の多さや長時間の勤務に対して給料が見合ってないことを理由に退職を決意する人は多い傾向にあります。
■仕事量が多い、労働時間が長い
「仕事量の多さ」や「労働時間が長い」といった問題を苦に退職する方は多いです。
近年、待機児童の問題と保育施設の増加に比例して保育士の人手不足が深刻な問題となっています。施設によっては、限られた人数の中で業務をこなす必要があるため一人ひとりの仕事量が多くなってしまいます。仕事量が多いということはその分業務の時間も長くなってしまうため、結果残業や自宅に持ち帰って仕事をしなければなりません。
極端に業務量が多い保育園では離職者は後を絶たず、さらなる人手不足で労働条件が悪化してしまうといった悪循環を招いてしまうのです。
適齢期や経験年数について
ほかの職種と同様に、保育士の転職にも適齢期というものはあります。「まだ新人同様の年齢で転職は風当たり厳しいだろうか…」「この年齢になって初めての転職は無理があるだろうか…」と年齢に関してお悩みの保育士もいらっしゃるのではないでしょうか。ですが安心してください。
適齢期といっても“その年齢じゃないと転職できない”といったものではありません。保育士は、どの年齢でも活躍の場が設けられた仕事です。転職をする際には、“年齢に合わせたアピールポイントがある”ということをあらかじめ把握しておきましょう。
年齢別のアピールポイントは以下のことが挙げられます。
●20代…20代はもっとも採用されやすい年齢。体力が必要な保育の現場では即戦力としてアピールできます。現場での経験が浅い分、教えられたことを覚え吸収しやすいのが特徴です。
●30代…30代は、園長先生や主任を目指したキャリアプランを積むのに最適な時期。保育の経験もあるので20代と同様に即戦力として求められます。出産・育児を考えている方は、非常勤として経験を積む選択をしてみてはいかがでしょうか。ライフプランにあった働き方ができるのが30代の強みです。
●40代…40代は、30代同様に経験と常識を求められます。また子育ての経験や社会人としてのキャリアが保育士の現場でも活かすことができますよ。新設保育園であれば園長先生や副主任のポジションを得るチャンスでもある年齢です。
30代、40代ともに仕事や育児といった経験が保育の現場でも活かせるということがわかります。
ただし40代以降の転職に関しては、ひとつ注意が必要です。たとえ年齢は上でも新しい現場に入れば40代の方も“新人”です。20~30代の保育士に指導を受けることになるので、常に謙虚な姿勢を心がけるようにしましょう。
転職の際には、自分の年齢を活かして最大限にアピールしてみてはいかがでしょうか。
転職で後悔する前に考えるべきこと
辞めたい理由は人それぞれあるなかで、それでも今の職場を離れることに躊躇してしまうのには、ほかに何かしらの理由があるからではないでしょうか。転職してしまった後に「あのときこうしていれば良かった」と後悔してしまわないためにも今一度問題を整理をしてみましょう。
■現状の不満は改善できないのか考える
転職を考えるということは、今の職場に不満があるということです。このまま不満を抱え続けて働き続けるよりも心機一転、新しい職場に転職することもひとつの方法です。
ですが、少し待ってください。辞めてしまう前に“その不満は今の職場で改善することはできないのかどうか”を一度考えてみましょう。例えば、人間関係で悩んでいるなら家族や友人など信頼できる人に相談してみたり、仕事量に関しては業務の見直しを行い余分な作業は最小限に抑えるほか常勤から非常勤に切り替えてみたりとまずはいろいろ試してみてはいかがでしょうか。
行動してみることで今の不満を改善することができるかもしれませんよ。
■退職することで生じるリスクを考える
転職することによって少なからずリスクというものは生じてしまいます。
例えば、
●自分がいなくなることで子どもたちが悲しむ
●ほかの保育士に迷惑がかかってしまう
●金銭面や社会的信頼を損ねてしまう
などがあります。
少なからず起こりうるリスクを軽減するためには、“計画的に転職活動を行う”ということが重要です。あらかじめ期間を設ければ、後任の保育士に引継ぎ業務を行えますし、子どもたちや保護者へ別れの挨拶をする時間を取ることも可能です。また、次の就職先を決めてから辞めることで求職期間中の金銭面の心配を回避することができますよ。
保育士が4月入職を目指して円滑に活動を始めるなら
転職活動をするうえで重要となってくるのは『計画性』です。突発的に今の園を退職し転職活動を行ってしまうと、希望の求人がない可能性がありますので注意が必要です。転職先が決まらないまま時間だけが過ぎ、焦って悪条件の園に転職してしまう…ということにもなりかねません。円満に今の職場を退職して、理想の職場に転職するためにも事前に転職活動に必要な期間を把握しておきましょう。保育士さんの転職には約3か月~5か月程度
かかります。希望の園を探し、書類選考や面接を経て内定したあとは今の職場に退職の意思を伝え、引き継ぎの業務を行わなければなりません。それだけでもかなりの時間が必要ですよね。心機一転、新しい職場で仕事をはじめるためにも計画的に転職活動をしましょう。 希望や条件をまとめる
転職活動に欠かせないのは『自分の希望する条件』や『こだわり』を明確に決めておくことです。給与額、福利厚生、勤務時間や休日はもちろん、保育園の方針や園の雰囲気など、人によって譲れない条件はあるかと思います。厚生労働省が調査したところによると保育士が希望する条件のうち「通勤時間」「通勤日数」「勤務時間」の“時間”に関する3つが比較的重要視される傾向にあるようです。
条件の精査にお困りの方は、下記のグラフを参考に優先すべき条件がなにかを一度考えてみましょう。
もし希望の条件やこだわりがたくさんあって迷ってしまう人は、紙に書き出してリストアップしてみましょう。譲れないものから順に優先順位をつけると、より明確に必要な条件が見えてきますよ。
転職活動を始めるタイミングを見極める
保育士さんに転職活動を始めてもらいたい時期は、10月~11月の秋ごろです。イベントや行事が少なく、運動会シーズンも終わるため徐々に業務に余裕が出てくる時期でもあるためです。
9月は新卒向けの求人が中心ですが、10月から冬の時期にかけてはどの園も次年度の計画を立てるため、新年度からの人員補充として中途採用向けの求人がぐんと増えてきます。
先ほど説明したように、保育士の転職期間は約3か月~5か月程度必要です。転職期間も考慮し、4月入職を目指すのであれば、求人数が増えてくる秋ごろを狙って転職活動をはじめましょう。
計画的にスケジュールをたてる
ここまでお話したように、保育士さんの転職活動において“計画性”と“タイミング”はとても重要です。そこで次に、もし4月入職を目指す場合の転職活動のおもな流れについて一例をあげてみました。これをひとつの目安として、これから自分は何をしなければならないのか、いつから始めたらいいのか、転職活動に向けたスケジュールをあらかじめ把握しておきましょう。
■転職活動スタート!【退職5か月前】
目安時期:10~11月
『希望する条件やこだわり』を決めて、さっそく求人を探します。気になる求人が見つかったら、直接園に問い合わせて見学にいきましょう。なるべく、子どもたちの様子や先生たちの雰囲気がわかる時間帯に見学するのがベストです。見学をしてみて希望に合う園があれば、履歴書と職務経歴書を作成し応募します。書類選考を経て面接に進めるようになった場合、今の職場を休んで行けるか、土日や開園時間外でも面接に対応してもらえるかきちんと確認しておきましょう。
応募した園ひとつひとつを丁寧に活動するのもいいのですが、その分時間がかかってしまいます。希望する園が複数ある場合は、なるべく同時に受けた方が効率的かつ面接時の場慣れがしやすいのでおすすめです。ただし、複数の園を同時に受けるなかでひとつ注意しなければならないのが、第2、第3希望の園が先に内定を出してくる可能性があるということ。その際には、「ほかに応募している園があり合否を待ちたい」ということを正直に話しましょう。保留期間がとくに設けられていなくても、3日~1週間以内に返事をするのがマナーです。■園に退職の意思を伝えよう【退職3か月前】
目安時期:12~1月
内定すれば、次に行うのは「今の職場に退職の意思を伝える」ということです。退職の意思を伝える順番ですが、まず直属の主任または同じクラスを担当している先輩保育士に伝えます。
園長には、主任に伝えたあと自ら伝える時間をとってもらうようにしましょう。伝える順番を考慮することで「ほかの職員が周知していない。聞いていない」といった伝え漏れを防ぐことができます。当然ですが、メールやLINEで伝えることはマナー違反
です。きちんと直接会って伝えるようにしましょう。■後任者に引き継ぎをする【退職1か月前】
目安時期:2~3月
担当しているクラスの子どもたちの様子を後任者に引き継ぎます。アレルギーの有無や家庭環境、子どもたちの性格など、細かな部分まで伝えておくといいですね。また、この時期に忘れてはいけないのが保護者への挨拶
です。退職の伝え方については、必ず事前に園長と相談しましょう。保険や年金など退職に関する必要手続きについても、この時期に漏れがないようきちんと確認しておきます。■退職当日~転職先への入職まで
最後まで引き継ぎ業務に漏れがないか確認し、園でお世話になった方々へきちんと感謝の気持ちを伝えましょう。退職後は、次の入職に必要な物の用意や気持ちの準備、体調管理をしっかりしておくといいですね。前の職場で培われた経験を踏まえて、心機一転新しい職場でがんばりましょう!
転職時期を把握して計画的に活動しよう!
「ほかの保育士に迷惑をかけたくない」「辞めるタイミングが見つけられないままでいる…」保育士さんにとって転職のタイミングはとても重要なものです。極力、周囲に迷惑をかけないように円満に進めたいというのは誰もが思う理想ですよね。そのためにも適した時期に転職活動を行い、周囲への配慮を忘れないように心がけましょう。また、年間を通して朝から夕方まで忙しい日々を過ごす保育士さんにとって転職活動は体力と気力が必要な作業です。「求人を探したり、園と直接やりとりをする時間がとれない!」「初めての転職で自信がない」そんな方は、人材紹介会社へ相談
してみてはいかがでしょうか。保育士WORKERでは、日中忙しく求人をチェックできない方のために最新の求人や好条件の非公開求人を紹介いたします。
また、転職が初めてであっても、書類の書き方やスケジュール調整、面接対策など最初から最後まで丁寧にサポートするので安心して転職活動を進められます。
ほかにも、園の雰囲気や人間関係など、気になることは何でもご相談ください♪アドバイザーが直接園とやりとりをしているからこそ、細かな情報までお教えすることが可能です!4月入職を目指して転職活動を始めたい方は、ぜひ一度『保育士ワーカー』を利用してみてはいかがでしょうか♪