「保育者」「保育士」「保育教諭」…子どもと関わる人にはさまざまな呼び名があります。「幼稚園教諭」なら幼稚園で働く先生だと認識できますが、保育者という曖昧な表現に疑問を持っている人も多いのではないでしょうか?この記事では、保育者の意味や使い分けのポイントを解説します。
保育者とは?
保育者とは、乳幼児を保育している人のことを指します。もっと広くいうと、施設や場所に縛りなく、就学前の子ども達と関わる仕事をしている人のことです。具体的な保育者は、以下のとおりです。
保育士や幼稚園教諭のこと
保育士や幼稚園などで働く人のことを保育者といいます。ここでいう保育者は、保育士資格を取得しているかどうかは関係していません。保育補助でも「子どもを保育している」という意味で保育者と呼びます。
子どもに関わる仕事をしている人のこと
乳児院や児童館などで働いていたり、託児所やベビーシッターなどで子どもを預かっていたりする人も保育者と呼びます。「子どもと直接関わっている」「子どもの健やかな成長に尽力している」という意味でいえば、看護師や保健師、栄養士、なども保育者と呼べるでしょう。
両親や親族など子どもを育てる人のこと
子どもを育てている両親、または預かってお世話をしている親族も保育者にあたります。いわゆる「保護者」と同じ意味です。1歳半健診や3歳健診など、母子保健法で義務づけられている法定健診では「日中の主な保育者は?」という問いがあります。保育所や両親、祖父母など、子どものお世話をしているのは誰か尋ねるときにも保育者という言葉が使用されます。
保育者と保育士の違いは?保育教諭は?
ここからは、保育者・保育士・保育教諭のそれぞれの違いを解説します。
保育者
保育者とは、前述したとおり乳幼児を保育する人のことを指します。保育者と呼ばれるために必要な資格はありません。広い意味で使われることも多く、場合によっては子どものお世話を担う祖父母や親族も保育者と呼ばれます。
保育士
保育士とは、国家資格である「保育士資格」を取得した人のことです。同じ保育園で働いていても、無資格の人は保育士とは異なります。保育士資格を持っているものの、実際に保育関係の仕事に就いていない人は「潜在保育士」と呼ばれます。
保育士は子どもと関わる仕事のため、保育者でもあります。なお、保育園ではなく、児童養護施設や児童相談所などで保育士資格を活用して働いている人も保育士、または保育者と呼ばれます。
保育教諭
保育教諭とは、保育士と幼稚園教諭の2つの資格を持ち、認定こども園で働く人のことです。認定こども園とは、保育と教育を同時におこなう施設のことで、幼保連携型の施設では保育教諭の配置が定められています。そのため、保育士や保育者とは明確な違いがあるといえるでしょう。
保育現場での使い分け
なんとなくは理解できるものの、いざ現場で使い分けるとなると混乱してしまう「保育者」と「保育士」の違い。そこでここからは、場面ごとの使い分けについて解説します。
資格の話をするとき
保育関連の仕事に従事したいと思ったとき「保育者になりたい」と言うこともあるでしょう。しかし、実際に資格を取得するときは「保育者の資格を取る」とは言いません。保育士や幼稚園教諭、ベビーシッターなど、資格の話をするときは広い意味を持つ保育者という言葉は使わないといえます。
職業を名乗るとき
自分の職業を名乗るときも「保育者をしています」では曖昧すぎるため「保育士をしています」など、資格を強調して伝えることが多いでしょう。保育士に限定しない場合は「保育関係の仕事」「子どもと関わる仕事」などの方が伝わりやすいかもしれません。
指導案を作成するとき
指導案は、子どもの健やかな成長を支えるために欠かせないものです。指導案を作成するときには、関わる大人がどのような配慮をおこなうか明記します。その際は、保育士だけでなく補助の先生も関わるため「保育者」と記載することが多いようです。しかし、認定こども園では「保育教諭」と記載されることもあるため、勤めている施設に合わせて使い分けられると良いでしょう。
まとめ
この記事では、保育者の意味や保育士との違いなどを解説しました。保育士は資格を持つ人に限定した呼び名であるのに対し、保育者は乳幼児の保育に関わる人全般を指す広い言葉だといえます。どちらもほとんど同じ意味ですが、ちょっとした意味合いの違いを理解しておけると良いですね。