介護職として働いている方のなかに、疲れが取れない、イライラする、寝つきが悪いなどの不調を抱えている方はいませんか?
その不調、もしかしたら「共感疲労」かもしれません。
そこで今回は、共感疲労とは何なのか、どのような症状がでるのか、また共感疲労があるかのセルフチェック表や対処法など、分かりやすくまとめてみました。
「なぞの不調が続いている・・・」という方などは、ぜひ参考に読んでみてください!
共感疲労とは?どんな症状が出るの?
共感疲労とは、トラウマや悲しみを背負った相手の話を聞いた時、その相手に共感や同情しすぎて感情を強く動かされることによって、自分自身の心が疲れてしまうことをいいます。
誰でも生まれつき「相手の気持ちになる」という共感能力を持っています。もちろん共感能力には個人差がありカウンセラーのように能力が高い人もいればそうでない人もいます。
たとえば、共感能力が高く共感疲労になりやすい人の場合だと、災害や事故などが起こった際に苦しんでいる人たちの様子を放送しているニュースやテレビ番組を見るだけでも共感疲労の症状が出る方もいます。
悲惨なニュースは「一度見ただけでも体調が悪くなってしまう」という方もいれば、数回なら大丈夫だけれど「何度も見ているうちに自分の気分まで落ち込んでしまった」という方など、なんらかの共感疲労の症状が出てくる方は少なくありません。
人によって共感疲労となる基準は異なるため人と比べるのは難しく、自分でも気づかないうちに共感疲労が溜まっていたということも十分あり得ます。
共感疲労の症状には
■些細なことにイライラするなど怒りっぽくなった、また落ち込みやすくなった
■寝ても疲れが取れない、食欲もない
■利用者への関心が薄れてしまい、利用者に対する介護業務も機械的になってしまっている
■仕事にやりがいを感じれなくなった
■理不尽な要求、心無い言葉を受けて傷ついた
などが挙げられます。
介護職は「共感疲労」になりやすい?!
介護職は、看護士と同じく感情労働であり「人と人のコミュニケーション」を大切にする仕事です。そのため、業務中は相手を思いやり親身になって利用者さんやご家族の話を聞いたり、どんなに忙しくても常に笑顔で対応したり、利用者さんが安心して過ごせるようにすることを第一に考え行動します。しかし、このように自分の感情を抑え過ぎたり共感し過ぎたりすることで、自分でも知らずしらずのうちに共感疲労になってしまうことも少なくありません。介護職で多いのは、真面目過ぎるがゆえ退勤後も利用者のことを考えてしまい「眠れなくなる」という症状。また、もっと寄り添ったケアをしてあげたいという気持ちが強くなりすぎた結果、ケア方針と意見に相違が起こり「職場の人間関係が上手くいかなくなる」「自分を否定された気持ちになる」「孤立感を感じる」といった症状です。介護職は利用者さんや家族と関わる期間も長いため、より共感疲労になりやすい職業といえます。感情疲労は「その日の気分」とは違うため、寝れば自然に治るものではありません。回復しなければ、悪化し「うつ病」に繋がってしまうことも。「共感疲労かも」と症状を感じたら、放置せずにすぐ対処することが大切です。◎感情労働について詳しく知りたい方はこちらのコラムもチェックしてみて! 「介護職は感情労働!?スタッフも管理職も知っておくべきケアと対策」 あなたの共感疲労度はどのくらい?セルフチェックしてみよう!
共感疲労は軽度であれば自分ではなかなか気付きにくいものです。
そこで、共感疲労があると感じている方も感じていない方も、一度セルフチェックをしてみてみましょう!
[共感疲労チェックシート]
□ とにかく、いつも疲れていると感じる
□ 熟睡できていない(眠れない、眠りが浅く何度も目が覚める、など)
□ 利用者さんのケアや話を聞いていても気持ちが動かない
□ 毎日、仕事に行くのがつらい
□ 一生懸命働いているのに達成感が全くない
□ 仕事をしていても無力さを感じることがある
□ 職場で孤立していると感じるようになった
□ 仕事もプライベートも、ささいなことでもイライラするなど、怒りっぽくなった
□ 仕事へのモチベーションが上がらず、ベストを尽くそうという気になれない
□ 原因不明の体調不良を感じることが増えた(悩まされている)
上記の項目に当てはまる個数が多いほど、共感疲労度は高いといえます。
ケアをおこなわずそのままにしておくと、症状が悪化し「うつ病」やADSと呼ばれる「急性ストレス障害」などの病気に繋がってしまいます。
少しでも当てはまる項目がある方は、自分に共感疲労の症状があること、共感疲労が溜まっていることを認め、そのままにせず回復に向けてすぐにケアを始めましょう。
共感疲労にならないために!3つの対処法
共感疲労を溜めないため、また解消するための基本的な対処法を3つご紹介したいと思います。
症状がある方も無い方も、ぜひ参考にしてみてください。
対処法1|職場とプライベートを切り離す
職場を出たら仕事のことは考えず、プライベートのことだけを考えるように切り替えをすることが大切。なかなか気持ちの切り替えが上手くできないという方におすすめなのは、気持ちを切り替える場所を決めておくことです。
たとえば「最初の角を曲がったら」「電車に乗ったら」「踏切を渡ったら」など帰宅途中にあり、いつも通る場所をON/OFFの切り替えポイントとするのもいいですし、帰宅途中にある「お気に入りのカフェでお茶をする」などお気に入りのお店で気持ちを切り替えるのもいいでしょう。大事なのは「勤務後にいつも必ず通る場所」ということです。
最初からすぐに切り離しができなくても大丈夫。もし利用者のことを思い出したら頭の中から消すという作業を繰り返しおこなうことで、徐々に思い出さなくなり仕事とプライベートを上手く切り離すことができるようになります。焦らずに少しずつやっていきましょう。
対処法2|つらい気持ちをシェアする
イライラしたり、悲しくなったりしたときは1人で抱え込まず、誰か信頼できる人に話しをして気持ちをシェアしましょう。つらい気持ちを話して聞いてもらうだけで、気分が晴れたり気持ちがスッキリしたりする効果があります。
家族や友人、同僚など親しい人に話すのもいいですし、カウンセラーなど話を聞くプロに相談してみるのも良いでしょう。自分が本音で話せて、その話を否定しない人を選ぶことが大切です。
対処法3|感謝ノートを作る
日々感謝できることをノートや紙などに書き出していきましょう。もし、ノートや紙が無くてもスマホなどに入力するのもOKです。実際にポジティブなことを考え書く作業をしていると、肯定的なことに思考が向くためポジティブ感情が上がり、ネガティブ思考から気持ちが沈んでしまうことを防ぐことができます。
日頃から感謝できる事柄考える癖を作ることで、心がネガティブ感情に占領されずバランスを保てるようになります。この作業は自分自身で簡単にできるので、気持ちが沈んでいるなと感じたら、時間を見つけてやってみてください。
上記で紹介した方法以外にも、趣味や興味のあることをおこないリフレッシュする時間を作ったり、自分1人だけの時間を作ったり、また動物が好きであれば動物と触れ合い癒されるなど、ケア方法はさまざまあります。
ぜひ自分にあった共感疲労を癒す方法を見つけてみてください!
まとめ
介護職であれば、だれもが共感疲労になってもおかしくありません。
しかし、大事なのは自分が共感疲労の症状が出ていることを認め、適切にケアをおこなっていくことです。共感疲労は、はじめ症状が軽くても放置していると精神的な病気に発展してしまうこともあるので、症状の度合に関係なく気付いたらケアをしましょう。
また今は症状がなくても、今後共感疲労の症状が出てくることもあるので、予防のためにも「ON/OFFの切り替え」「気持ちのシェア」「ポジティブに考える時間を作る」などをおこない、共感疲労を溜めないようにしておくことが大切です。
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